Social Change Agency研修プログラム2021開催概要

Social Change Agency
研修プログラム2021とは

本プログラムは、ソーシャルワーカー、対人援助職が、現場で出会うクライアントの課題を広い視点で捉え、ミクロ(個人の問題)からメゾ、マクロ(地域・社会構造上の問題)を対象とした実践を展開していくためのさまざまな機会(スキル・マインド・ネットワーク)を提供することを目的に2017年度より開始されました。今まで延べ430名以上が参加され、今期で5期目になります。

本プログラムの企画運営を行うスタッフであるわたしたちも、いち実践者であり、日々、現場で出会う人たちの声から、個人の問題を引き起こしている社会構造をどのように捉え、そしてどこに実践の焦点を当てることができるのかと悩み、考え、試行錯誤しています。本プログラムはそのような試行錯誤、そして過去参加された430名の方々の声や実践を材料にしながら、変化を続けてきました。

長引くコロナ禍によって、社会的に排除、抑圧され、孤独・孤立状態に置かれている人々がより一層増えています。さまざまな現場で、そのような人たちと出会う可能性の高いわたしたちソーシャルワーカー、対人援助職に何ができるでしょうか。何をすべきでしょうか。是非、一緒に考え、行動を起こしてみませんか。ご参加をお待ちしています。

プログラムが提供する学びの全体図

プログラムの特徴

  1. 完全オンラインでの実施
  2. コースは2つ
    ⑴一般コース(座学中心)
    さまざまな専門領域の講師から生の知見を得ることができます。

    ⑵ 実践者ゼミコース(座学+α)
    一般コースと同様の講義視聴に加え、講義での学びを深めるコンテンツを提供します。最大12名の課題意識をもった仲間と共に学び、お互いのアクションを支え合います。プログラム終了後も交流や研鑽の機会を提供します。

  3. 講義の見直しができるアーカイブ付きチケット有り
  4. 一般コースに【法人割】【学割】を設けました。
    【法人割】同一法人や自治体から3名以上お申込をいただく場合、ご希望参加チケット総額より10%参加費を割引いたします。ご希望の場合は「sca2021@social-change-agency.com」までお問い合わせください。
    【学割】チケット申込ページより「学割」チケットを選択ください。各回10名限定となります。

    ※ご勤務先の法人や自治体負担でのご参加を希望されている方から「参加費の口座振込」ができないかと問い合わせをいただいております。口座振り込みでの対応を承っていますので、ご希望の場合は「sca2021@social-change-agency.com」までお問い合わせください。

一般コーススケジュール

時期テーマ講師
基調
講演
10/17(日)
10:00-12:00
日本社会
の変容
東京大学大学院教育学研究科
教授 本田 由紀氏
DAY111/20(土)
13:00-15:00
社会的
排除論
一般社団法人つくろい東京ファンド
代表理事 稲葉 剛氏
DAY212/19(日)
10:00-12:00
社会正義立命館大学総合心理学部
教授 神島 裕子氏
DAY31/16(日)
10:00-12:00
反抑圧的
実践
カナダ政府登録難民カウンセラー及びセラピスト
市川ヴィヴェカ氏
※2021/12/17追記:本講義の講師は二木泉氏から市川ヴィヴェカ氏に変更になりました。
DAY42/27(日)
10:00-12:00
ソーシャルアクション武蔵野大学人間科学部社会福祉学科
教授 木下 大生氏


実践者ゼミコースの概要

概要一般コースでの学びを土台に、ミクロ(個人の問題)からメゾ、マクロ(地域・社会構造上の問題)へのアクションを展開するための実践的な学びとサポートを提供するコース
対象者・排除や抑圧を生じさせている地域や社会構造について課題を感じており、アクションを起こしたいと考えている方
・基本的には、現在対人支援の仕事に就いており3年以上の経験がある方が対象です。ただし経験年数は目安であり、3年未満でも応募に問題はございません
・資格の有無は不問です
募集人数12名
金額30,000円(全6日程と講義外のサポートなどもすべて含めた金額です)
参加者特典ソーシャルワーカーのオンラインプラットフォーム「SWallow(スワロー)」(通常月額500円)を、プログラム参加期間中(2022年3月末まで)は無料でお使いいただけます
開催日程・実施日は一般コースと同様の日程+2022年3月19日の1日程
・各日程で8:30~17:00で実践者ゼミを実施予定(参加者数等により多少前後する可能性あり)。つまり一般コースの講義視聴に加え、一般コース講義の前後に実践者ゼミは実施されます
※またプログラム開始前や講義日の間にも、動画による学習/事務局のサポート/チーム学習などが予定されています
実践者ゼミの特徴①参加者の実践を後押しするための様々な種類の学び
・座学だけでなく事前学習動画/チーム学習/アクションラーニングといった様々な学びの形態を用意
②参加者の問題意識やニーズに個別化したサポート
・自己覚知や理論と実践の橋渡し、構造の批判的考察を促すリフレクションの機会を豊富に用意
・プログラム後半には、問題意識の深化やアクションを個別に支援する事務局サポーターを配置
③志を共にする仲間の存在
・完全オンラインで地域の垣根を越えて、向学心のあるソーシャルワーカーと出会える
・卒業生からの実践者ストーリーを聞く学びの機会も用意
・同じ期の参加者はもちろんのこと、卒業生同士のネットワーク機会なども
開催までのスケジュール・実践者ゼミ参加エントリー〆切:9/24(金)23:59

・実践者ゼミ参加決定の連絡は9/27(月)を予定しています
お申込みに際して・エントリーの前に、下部の実践者ゼミ概要の動画を必ずご視聴ください
・動画視聴後、「実践者ゼミコースへのエントリーはこちら」からエントリーフォームをご記入ください
・申込者多数の場合、フォームの記載内容をもとに事務局内で参加可否を判断させていただきます

実践者ゼミコース概要説明動画

実践者ゼミの基礎情報を説明しています。ミスマッチを避けるため、エントリー前にご視聴いただけますよう、お願いいたします。

よくある質問と回答

Q. 講義日以外の学習は、どれくらいの時間をかけるものでしょうか。また、学習の時間帯を指定されることはありますか。


A. 講義日以外の学習の形態には主に以下の3種類が想定されています。(1)事前学習動画(2)チーム学習(3)メンタリングどの学習形態であっても、週に最大で30分程度のお時間を割いていただく可能性があります。ただし講義日以外の学習については促すことはあっても強制はしませんので、できる限りのお時間を割いていただければと思います。またどの学習形態も、こちらから実施の時間帯を指定する訳ではありません。(1)はオンデマンド(いつでも閲覧できる)、(2)(3)はみなさんと希望時間帯を調整し、実施します。


Q. 現在、対人援助職に就いていなくても参加できますか。

A. 現在、対人援助職に就いていなくても、過去に何等かの形で困りごとを抱える当事者の方に向き合った経験(例えば、ボランティア活動や身近にいる方を支えた経験)があれば、ご応募いただくことは可能です。ただし定員を超えるご応募があった場合、提供プログラムとのフィットの観点から、他の応募者を優先し参加の決定をする場合があることをご了承ください。またエントリーフォームの「ソーシャルワーカーとして、認識している地域や社会の課題と、その課題に対して取り組まれている、もしくは取り組みたいと考えているアクションを教えてください。(現段階で明確になっていなくてももちろん結構ですので、考えている範囲で記載してみてください)」という質問に対しての回答を、可能な限り厚く書いていただけますと、適切な判断の助けとなりますので、ありがたく思います。

実践者ゼミコース運営担当者からのメッセージ

実践者ゼミの企画・ファシリテーションを担当します齊藤直子です。
参加を検討されているみなさんにまずお伝えしたいのは、卒業生の多くが口にするこのプログラムの最大のメリットです。それは「仲間と出会える」こと。卒業以降も、同期や他の期の卒業生との交流を続け、中には卒業生同士がともにアクションをしていたり、Social Change Agencyのメンバーとして活動をし続けていたりします。
私自身、過去に対人支援の経験があり、志を持つソーシャルワーカーのみなさんの大変さに、完全に思い至らないまでも、心を寄せることはできると思っています。みなさんがまずエンパワーされることを第一に、スキル学習の提供や、学習基盤となる内省と対話を提供していくよう日々努めています。
すでに具体的にアクションプランがある方から、メゾ・マクロに働きかけたいと願いながらもなかなか形にはならずもやもやしている、という方まで、是非実践者ゼミでみなさんの思いを一歩、前に進めてみませんか?


各回講義を担当いただく講師紹介

基調講演:日本社会の変容

本田 由紀(ほんだ ゆき)氏


東京大学大学院教育学研究科教授/日本学術会議連携会員。徳島県生まれ、香川県育ち。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。日本労働研究機構研究員、東京大学社会科学研究所助教授等を経て、2008年より現職。専門は教育社会学。教育・仕事・家族という3つの社会領域間の関係に関する実証研究を主として行う。特に、教育から仕事への移行をめぐる変化について指摘と発言を積極的に行っている。主な著書に、『若者と仕事』(東京大学出版会)、『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版、第6回大佛次郎論壇賞奨励賞)、『「家庭教育」の隘路』(勁草書房)、『軋む社会』(河出文庫)、『教育の職業的意義』(ちくま新書)、『学校の「空気」』(岩波書店)、『社会を結びなおす』(岩波ブックレット)、『もじれる社会』(ちくま新書)、『教育は何を評価してきたのか』(岩波新書)、『「ニート」って言うな!』(共著、光文社新書)、『労働再審1 転換期の労働と〈能力〉』(編著、大月書店)、『現代社会論』(編著、有斐閣)、『文系大学教育は仕事の役に立つのか』(編著、ナカニシヤ出版)、『岩波新書で「戦後」をよむ』(共著、岩波新書)、『危機の中の若者たち 教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』(共編著、東京大学出版会)、『教育社会学のフロンティア 1 学問としての展開と課題』(共編著、岩波書店)、『国家がなぜ家族に干渉するのか―法案・政策の背後にあるもの』(共編著、青弓社)、『平成史講義』(吉見俊哉編、共著)、『日本のオルタナティブ』(共著、岩波書店)ほか。


DAY1:社会的排除論

稲葉 剛(いなば つよし)氏


一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事、 認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、 生活保護問題対策全国会議幹事、立教大学大学院客員教授。1969年広島県生まれ。94年より、 新宿において路上生活者支援の活動に取り組む。2001年、 自立生活サポートセンター・もやいを設立し、 幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開。 2014年まで理事長を務める。2014年、 つくろい東京ファンドを設立し、 空き家を活用した低所得者向け住宅支援事業に取り組んでいる。著書に『​​貧困パンデミック―寝ている『公助』を叩き起こす』(明石書店)、『コロナ禍の東京を駆ける: 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』岩波書店など多数。


DAY2:社会正義

神島 裕子(かみしま ゆうこ)氏

立命館大学総合心理学部教授。東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修了。博士(学術)。専門は哲学・倫理学。主にケイパビリティ・アプローチに基づいて、よい生き方や正しい社会のあり方について研究している。著書に『ポスト・ロールズの正義論——ポッゲ・セン・ヌスバウム』(ミネルヴァ書房)、『正義とは何か』(中公新書)、訳書にロールズ『正義論 改訂版』(共訳、紀伊國屋書店)、ヌスバウム『正義のフロンティア——障碍者・外国人・動物という境界を越えて』(法政大学出版局)、ハミルトン『アマルティア・センの思想——政治的リアリズムからの批判的考察』(みすず書房)ほか。


DAY3:反抑圧的実践

市川 ヴィヴェカ氏

カナダ政府登録難民カウンセラー及びセラピスト

社会福祉士・保育士。NPO団体理事・市役所福祉保健部の非正規職員として生活保護世帯・生活困窮世帯の子どもと家族支援に従事した後、カナダトロント大学大学院でソーシャルワーク修士を取得。現在は、カナダ政府登録難民カウンセラー及びセラピストとして、移民/難民/LGBTQ+コミュニティメンバー/若年ホームレス/留学生/人種マイノリティ女性とのセラピーに取り組む。日本の大学講師やワークショップファシリテーターとしても活動。2020年から同大学院の博士課程(社会福祉学)に在籍し、アイデンティティ、構造的抑圧、国際的なソーシャルワーク教育についての研究を行っている。著書に「脱『いい子』のソーシャルワーク―反抑圧的な実践と理論 」(共著)。


DAY4:ソーシャルアクション

木下 大生(きのした だいせい)氏

武蔵野大学人間科学部社会福祉学科教授。博士(リハビリテーション科学)。社会福祉士。専門は、ソーシャルワーク、知的障害のある人への支援(特に被疑者・被告人に問われた人、認知症症状がある人)。著書に、『認知症の知的障害者への支援―「獲得」から「生活の質の維持・向上」へ』ミネルヴァ書房(単著)、『ソーシャルアクション!あなたが社会を変えよう』ミネルヴァ書房(共編著)、『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』岩波書店(共編著)など。


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