【イベントレポート】第一回 Social Action School

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6月11日に開始したSocial Change Agent 養成プログラム
Social Action Schoolの1回目レポートは、選抜一期生の佐藤さんが担当します。



みなさん、はじめまして。1期生の佐藤です。
6月11日に行われたSocial Action Schoolの報告レポートを担当させていただきます。

講師は、SCAの代表である横山北斗さんです。
当日は、以下の3部構成で話がすすみました。


1.ソーシャルワークとは何か

ソーシャルワークとは何かについて、「価値、倫理、知識・技術」をもとに説明。価値については、国際定義(グローバル定義)の前文を基に概説する。倫理については、日米の倫理綱領をもとに説明した。知識・技術については各援助技術・理論・モデルアプローチ、それらを統合したジェネラリストソーシャルワークを基に説明している。

2.日米のソーシャルワーク養成の比較からみるソーシャルアクションの位置づけ

日米の社会福祉士の養成過程の比較とソーシャルアクションの定義・位置づけが明確化されていないことを指摘。そして、比較から分かった課題を整理する。

3.ソーシャルアクションを為すことを助ける理論的枠組み(仮説)

講師の現場の経験からソーシャルアクション(特にマクロ実践)を効果的に行うための方法を説明する。実践プロセスを構造的に説明し、アセスメントの範囲を広げることの重要性を訴える。その上で、介入の焦点を定めて、計画的に適切な技術(認知的技術、相互作用の技術、直接援助活動、間接援助活動)を用いて、役割を担っていくソーシャルアクションのプロセスを説明する。ヒントは目の前のクライエントが持っている。

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今回は初回の講義ということもあり、本養成プログラムが開始された背景について簡単に説明がありました、福祉現場のソーシャルワーカーは、現場から社会へ働きかけていく機能(ソーシャルアクション)が弱く、そこに非常に課題意識を持っています。しかし、日本のソーシャルワーカーの養成課程(大学や専門学校)で、ソーシャルアクションを学べる場がほぼ存在しない。そんな状況の中で何かしていきたいと思い、本プログラムが開始されました。

実際に私も、現場で感じた課題を社会へ働きかけていきたい(ソーシャルアクションを起こしたい)と思ったことはあります。ただ、「具体的にどうやって動いていいのかがわからない」「知識も技術もないから分からない事だらけで無理な願いだと諦めてしまう」そんなことを思いながら、周りに流されて「仕方ないね」で片づけてしまうことがあります。けど、その「仕方ないね」で片づけしまいたくないから、今回のプログラム参加した経緯があります。

その中で、話の構成3部目ではソーシャルアクションの実践プロセスを構造的に説明されることがありました。この内容がとても印象に残っており、今後の講義にも大切な視点として活きてくる内容なため、今回はこの3部目を中心にレポートしていきたいと思います。一応、1部目と2部目をざっくりと説明すると、1部目では、そもそもソーシャルワークってなんなのか、目指すものや、倫理的に決められた約束事、扱う範囲がとても広いことなどについて概説されていました。2部目では、アメリカと日本のソーシャルワーカーの養成過程を比較して、現状でソーシャルアクションがどんな位置づけになっているのかを説明されていました。

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そして、3部目では実際にソーシャルアクションってどんな風に進めていったらいいのかを、講師の理論的な枠組み(ピンカスとミナハンのシステムモデル?)を用いて説明されます。1部の話でも触れたように、ソーシャルワーカーとは国際定義に記された価値を社会に提供できるような任務(ソーシャルワークを行う任務)を持っています。しかし、2部の話で、主にマクロ実践におけるソーシャルワークを行うことが難しい状況にあります。そのため、メゾ・マクロ実践に関わる知識を有し、方法・技術を「必要な時にいつでもだせるようにしておく状態」が大事です。

メゾ・マクロ実践に関わる知識を有し、方法・技術を必要な時にいつでもだせるようにしておく状態になるためにはどうしたらいいでしょうか。講師はここで、「アセスメントの範囲を広げて、より広い介入の焦点を仮説として持っておくこと」を勧めています。そうすることで、日々の実践を可能な限りメゾ・マクロ側に寄せていける可能性が広がります

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例えば、講義の中で、リストラによって職を失い、住居もなく、親からも縁を切られ、所持金も底をついて路頭に迷う方(Aさん)の事例について考える時間がありました。その人の事例を通して、他にも同じ境遇立たされている人が地域に住んでいるかもしれない。同じ地域に限らず、社会全体に同じ課題や原因があるかもしれない。また、今後の同じような境遇に立たされる危険性のある人だっているかもしれない。そうやって、たった一人のアセスメントから感じたことを、地域、全国、場合によっては世界へと視野を広げていくことで、日々の実践を可能な限りメゾ・マクロ側に寄せていくことができます。

また、そうやってアセスメントの範囲を広げていくには、当事者の協力が必要不可欠です。実際に体験した人の語りや経緯があって、「同じ課題を繰り返さないためにはどうすればいいか」といった思考で考えることができます。

このようにして、ソーシャルアクションを具体的に起こすにあたって、まずアセスメントの範囲を広げることの重要性を講師は言われています。広い範囲でアセスメントを行い、変化への努力が向けられる焦点または対象を定めていきます。この焦点または対象のことを「ターゲットシステム」と言います。アセスメントして、「ここが問題の原因なんじゃないか」という仮説をもとに導き出された、介入の焦点です。例えば、先ほどの事例の中で、Aさんがネットカフェで暮らすことがありました。そこでは、Aさんと同じような職、住居の無い人が集まっていることがあり、ここが「ターゲットシステム」に成りえるのではないかと思っています。

例えば、Aさんのような境遇の人がネットカフェにどれくらい寝泊まりしているのかを、地域の職能団体からお願いして、ネットカフェの会社の協力のもと調査してみて、どれくらい寝ているのかのデータをとって、有効なデータが取れたらネットカフェのトイレに社会福祉サービスのリーフレットを置けるかもしれない。

そうやって、アセスメントの範囲を広げて、誰がどのような問題を抱えているのか、原因はなんなのかを整理して(クライエントシステムの把握)、ネットカフェに同じような境遇の人が多く住んでいることがわかったら、そこを原因の仮説として立てる。

仮説として立てた原因のどこに介入するのか(ネットカフェのトイレに福祉サービスのリーフレット置くなど)、介入の焦点(ターゲットシステム)を定める。

そのために、誰といつまでにどのような方法で行うのかを考える。先ほどの事例でいうなら、リーフレットを置くことを提案したソーシャルワーカー(チェンジエージェントシステム)や、職能団体、ネットカフェの会社(アクションシステム)がそれにあたるかもしれない。

そのようにして、1回目の講義を通して、具体的なソーシャルアクションの実践プロセスを構造的に学ぶことができました。この内容は、2回目以降のゲスト講師のソーシャルアクション実践を構造的に捉えることに役立つ思うため、今後に活かせるようにしていきたいです。

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