声なき声を聴く-ソーシャルワーカーによるアウトリーチ-


対人援助現場におけるアウトリーチについて概要をまとめました。
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上記は、性暴力被害者支援情報マッチング事業「サイレント・ティアー」リリースイントにおける資料です。
サイレントティアについてはこちら(NPO法人しあわせなみだHPへ) 


1. 声なき声を聴く -ソーシャルワーカーによるアウトリーチ- NPO法人 Social Change Agency代表理事 横山北斗

2. 自己紹介 神奈川県立保健福祉大学卒。社会福祉士。 大学卒業後、医療ソーシャルワーカーとして患者家族 への相談援助業務に従事。 社会福祉現場には社会問題が山積しているからこそ、 社会福祉従事者が問題を解決するためのアクションを 起こす必要があると考え、 2013.8月に「Social Change Agency」を設立(2015.2月NPO法人化) 社会福祉に関する啓蒙イベント、社会福祉従事者対 象の研修等を開催している。

3. Social Change Agencyとは? (2013.8設立。2015.2 NPO法人格取得) 社会の支え手を増やす 社会の支え手を支える 社会の支え手から、社会を変える人たちを輩出する VISION 福祉の力で社会を変える

4. ソーシャルワーカーとは? 生活上の困難・不安を抱えている人々、社会的に疎外されている 人々に対して、総合的・包括的な援助を提供する専門職の総称

5. 性暴力被害者支援情報マッチング事業 「サイレントティアー」 支援機関や支援者がいても、情報や支援を、 必要としている人に届けることが困難なことがあります。 アウトリーチ(手を差し伸べる、手を伸ばす) と呼ばれる支援の方法論についてお話をします。

6. 福祉現場での支援 対象者が相談(利用)に来ることを待ち、 そこから支援がはじまることが多い 「相談窓口に来ることができる人」にしか、 支援を届けることができないという限界がある ・親の介護が大変なので施設に入れたい ・職場を解雇され、生活費に困っている ・配偶者に暴力を受けている etc…

7. 支援が届かない人 様々な要因により、相談窓口に来ることができず、 支援を届けることができない人たち ・必要な情報にアクセスできない(能力的に困難、機会 を奪われている)ために、自らが必要とする支援を受 けるための行動を起こすことができない ・支援を求めることが能力的に困難 ・支援を求める能力が一時的に低下している ・支援を受けることに心理的ハードルを感じている ・問題が複雑多層過ぎて、自分でも何をどうすればよ いかがわからない状況にある ・身の回りに頼れる家族友人がいない ・疲れ困り果て、誰かに助けを求めることさえできない

8. アウトリーチとは 支援が届かない人を「発見」し、その人の生活を支援するため に必要な社会資源やサービスにつなぐための入り口をつくる 総合的なケアマネジメントの過程 相談窓口で待っているだけでは支援が届かない人へ、 支援を届けるためのプロセス 発見し、出会う 支援の入り口をつくる 個別支援へ

9. アウトリーチの実例(一例) • 高齢者支援 • 若者支援 • 引きこもり支援 • 精神障害者支援 • 路上生活者支援 • 地域における包括的福祉支援

10. 高齢者支援 愛知県宇和島市HPより転記 単身世帯、認知症、老老介護、 高齢者虐待疑いのケースなどへの見守り・訪問ネットワー ク

11. 若者支援 厚生労働省Hpより転載 学校や自宅へのアウトリーチ

12. ひきこもり支援 ひきこもりサポーター養成研修、派遣事業(平成25年度~) 厚生労働省Hpより転載

13. 精神障害者支援 厚生労働省Hpより転載 医療機関の専門職チームによるアウトリーチ

14. 路上生活者支援 NPOなどによる、夜回り、個別支援等

15. 地域における包括的福祉支援 豊中市社会福祉協議会HPより転載 豊中市モデルの成功により、日本全国各地で、 コミュニティソーシャルワーカーの配置が進む

16. 国策におけるアウトリーチ • 子ども・若者育成支援推進法(H22.4〜) ユースアドバイザー養成プログラム • ひきこもり対策推進事業 ひきこもり地域支援センター設置運営事業(H21年度~) ひきこもりサポーター養成研修、派遣事業(H25年度~) • 精神障害者の地域移行支援事業 精神障害者アウトリーチ推進事業(H23年度〜) • 生活困窮者自立支援法(H27.4〜) その必要性は、他分野に渡り、叫ばれ始めている

17. なぜ、今、アウトリーチなのか? • 生活問題の複雑化・多層化 • 「待ちの支援」では、予防的・早期介入が難しい。 • 既存の制度では対応困難な「制度の狭間」に陥る人 たちの増加 アウトリーチは、単なる「訪問」ではない 地域においてSOSを出せない人たちと出会い、 支援の入り口をつくっていくことが求められている

18. アウトリーチの難しさ • 発見することができなければ、出会うことができない。 • 支援に繋がらなかった人の時間は、社会的に排除 されてきた時間でもあるかもしれないゆえ、支援の 入り口をつくることは、窓口に相談に来ることができ る人よりも困難を伴う。 どのようにして「発見」し、「出会い」、 支援の入り口をつくるか?

19. アウトリーチの肝:「想像する」 “支援を届けたい人に、どうすれば届けられるか” 福祉現場のソーシャルワーカーには、 「声なき声」を聴くために必要な、蓄積がある 未だ聞こえぬ、声なき声を聴くためには、 支援者たちの想像力が必要

20. 参考書籍等 <アウトリーチについて> • セーフティネット-コミュニティソーシャルワーカーの現場- (原作・文 豊中市社会福祉協議会 筒井書房) • 精神科病院を出て、町へ (著:伊藤順一郎 岩波書店) • 実践!アウトリーチ入門 (編:高木俊介ほか 日本評論社) ほか、厚労省事業については、厚生労働省HP参照 <ソーシャルワークについて> • 知りたい!ソーシャルワーカーの仕事 (著:藤田孝典、木下大生 岩波書店)