『社会福祉士が活用・配置されない資格という疑念』第6回福祉人材確保対策検討会資料より

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お世話になります。調査・研究チームです。

上記、厚労省ホームページ内の資料「第6回福祉人材確保対策検討会(H26.10.3)構成員提出資料1(上野谷構成員)〜福祉を担う人材の確保について~社会福祉士国家資格の任用・活用・配置促進に向けて~」を転載させていただいています。ロジカルで論点も明確、非常にわかりやすく、かつ危機感を感じざるを得ない内容でしたので共有いたします。

画像は、リンク内資料P4(一般社団法人 日本社会福祉士養成校協会 副会長 同志社大学教授 上野谷 加代子氏)より。

 

厚労省の第6回 福祉人材確保対策検討会にて提出された資料です。

日本社会福祉士養成校協会以外からの構成員からも資料が出ていますが、日本社会福祉士養成校協会の資料が一番ロジカルで、論点も明確でだと思いましたので,紹介いたします。以下、「第6回福祉人材確保対策検討会(H26.10.3)構成員提出資料1(上野谷構成員)〜福祉を担う人材の確保について~社会福祉士国家資格の任用・活用・配置促進に向けて~」より。

 

論点①
社会福祉士の任用・活用の現状は?

○ 投資(学生、学校)に見合った社会福祉士䛾任用・活用がほとんど進んでいない(実効性䛾ある方策が講じられていない)。
論点②
社会福祉士の任用・活用のための課題は?

○ 昨今の福祉的課題に則った政策の流れに沿って社会福祉士養成教育が見直され、新カリキュラムによる養成が行われているにもかかわらず、実質的な任用の促進が図られていない。
○ 社会福祉士は任用要件として定められている職種は、ほとんどが社会福祉主事との併記となっているため、実質的に社会福祉士が任用される状況となっていない。(特に、いわゆる『三科目主事』)
例えば、生活困窮者自立支援事業等における『相談支援員』『就労支援員』に社会福祉士を任用することが想定(明記)されない現状。

 

論点③
では、社会福祉士䛾任用・活用の拡大に向けて必要な取り組みは?

 

科目『就労支援サービス』の新設 ?(労働分野、生活困窮者自立支援事業における就労支援員に社会福祉士を想定できない?)
【例えば】(6ページ以降の【参考:1・2】の資料を参照のこと)
○ 生活困窮者自立促進支援事業における三支援員(主任相談支援員、相談支援員、就労支援員)の養成に必要とされる教育内容は、社会福祉士養成教育カリキュラムと完全に合致している、唯一の国家資格であるといえる。
○ 主任相談支援員には一つの要件として社会福祉士が記載されているものの、相談支援員、就労支援員の配置に社会福祉士が想定されていないのはなぜか。

 

 

要約すると…

・社会福祉士の養成新カリキュラムにおいて、「就労支援サービス」が設けられた。

・生活困窮者自立支援事業における相談支援員、就労支援員は、まさに上記カリキュラムにおいて養成された社会福祉士が担うべきはずなのに、なぜ想定されていないのか??

 

「本来なら、新カリキュラムの内容にまさに合致するポジションに、なぜ、いったい、なぜ、社会福祉士が想定されていないのか?」

という問題提起から、そもそもこういった事実が、業界内部において自ら矛盾を生み、社会福祉士を目指す者を䛿じめ、福祉・介護人材を他に流出させることになっているのではないか?

 

という正論過ぎる意見を述べてらっしゃいます。

その上で、社会福祉士の任用・活用の拡大に必要な取り組みについて以下のように述べられています。

 

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業界が総力を挙げて取り組むべき。

 

本当にそう思います。

まずは業界全体が一致団結して、スピーディに意思決定し、業界としての総意を踏まえたアクションを国に対して起こすことができないと、今回のような「生活困窮者自立支援事業等における『相談支援員』『就労支援員』に社会福祉士を任用することが想定(明記)されない現状。」などが起こり得ます。つまりは、好機を逃してしまうということが起こりうるわけですね。

 

私たちも含め、日本全国のソーシャルワーカーたちが、「頑張っていれば誰かが見ていてくれる」という他力本願でなく、社会の動きを俯瞰し、自身がアクションを起こしていかなければ、ソーシャルワーカーたちが活躍する場は増えていかないのかもしれません。