Category Archives: 【連載】代表横山コラム

ソーシャルワーカーの就職活動において、やっておくべき3つのこと

16 5月 , 2017,
SCAスタッフ
No Comments

 
saiyou
 
 
代表理事の横山です。
本稿では、ソーシャルワーカー(社会福祉士)の就職活動について自身の経験を踏まえ、「ソーシャルワーカー(社会福祉士)の就職活動において、やっておくべき3つのこと」と題し、学生さんたちにとって参考になることをお伝えできればと思っています。

 

1.情報の取得先を多く持とう!


私が就職活動をした当時まず驚いたのが、求人情報の少なさでした。一般的な就職サイトには求人は掲載されていませんし、そもそも新卒一括採用というもの自体が存在しない業界(医療機関に就職しました)でしたので、「就職できるだろうか」と不安を覚えたことを思い出します。

まずは、求人情報の母数を増やすために、情報取得先を多く持つことをおすすめします。取得先は、大きく以下の3つに分けられます。


大学の教員のネットワーク
・実習先の現任者や、学会等で知り合った現任者
・インターネットや大学の求人情報


ゼミの先生や、学科内で、ご自身の志望する領域・分野での勤務経験のある先生を探し、アポイントを取って、情報があったら教えてもらえるようお願いをしましょう。

実習先の現任者や、学会や研修で知り合った現任者の方に求人情報があったら教えてもらえるようお願いするのもいいでしょう。(日本医療社会福祉協会では、フレッシュ医療ソーシャルワーカー1日研修会という学生さん向けの研修会を年2回、東京、大阪で実施しています。こういった機会も現任者の方と知り合う機会になると思います。)

各機関が、機関のインターネット上のホームページに求人情報を掲載していることもありますので、検索し、情報を得ることも考えられます。大学にきている求人情報をチェックすることも同様です。


例えば、医療ソーシャルワーカーの職能団体である日本医療社会福祉協会のHPに、以下のトピックがあります。
………………………………………………………………………
 

Q医療ソーシャルワーカーになるための就職活動はどうすればいいですか?
大学に求人情報が出されることはほとんどありません。また求人の時期についても、通常の「4年生の夏まで」ということはありません。求人の時期としては「前職者の退職に伴って補充する」場合は、6月や1月・2月に求人情報が出てくることになります。「増員で募集する」場合であっても、早くて11月、遅いと3月という 状況です。
 
 
Q医療ソーシャルワーカーについての求人情報を得ることは出来ますか?
求人情報は、ソーシャルワーカーの中で回ることが多いので、実習先のソーシャルワーカーなど関係者から情報を得ることができるようにすることが重要です。
当協会でも、「求人情報」を掲載していますが、ほんの一部ですので、就職したい地域のソーシャルワーカーから直接情報を得ることができるようにすることだと思います。

 
 
………………………………………………………………………
 
 
ソーシャルワーク部門は、少人数職場であるところが、ほとんどなので、人となりがわからない人を採用することをリスキーに感じる機関が多いと思います。
(実習からの就職、大学経由の縁故採用が多いのは、それも理由かと思います)
 
もし、大学の先生などの繋がり等で、就職に関する話があるようでしたら、ご活用されることをおススメします。
 
 

2.事前見学へいこう!


もし、事前見学等が許される境であれば、実際に、アポイントをとって見学にいってみることをおすすめします。

この人の元であれば、しっかり学べるだろう、安心して働けるだろう等という実感値を得られるかそうでないかはやはり、ご自身で直接、そこで働いている方の話を聞くに尽きるかと思います。
 
先方が対応してくれるかどうかはわかりませんが、もし見学対応してくれたなら、
先方にご自身を印象づける機会にもなるかもしれません。


求人を出す方も、相手の人となりを知りたいと思っていますので、ソーシャルワーク部門が採用に関わっており、しっかりと相手を見極めて採用したいと考えている病院であれば、希望者からの見学の申し出等は、歓迎するのではないかと思います。

中には、ソーシャルワーク部門が採用に関わっていないところもありますが、それは=組織内のソーシャルワーク部門を位置づけを意味するのだとも言えますので、ひとつの判断材料にもなり得るでしょう。


3.就職先を選ぶ上での、自分の中の優先順位を決めよう!


勤務先の地域や、雇用体系、給与、やりがい等、仕事を選ぶ上で、優先すべき項目というのは個々異なるものですが、自分が何を優先したいと思っているのかをしっかりと考えておくことで、就職活動における軸はぶれずに済みます。



私の場合、就職先を選んだ基準は、病院の内容うんぬんよりも、上司になる人が尊敬できるか、この人のもとであれば学べると思える人か。それを最優先としました。
 
最初の職場で、どのような人のもとで働くかで、その後のキャリアは大きく変わって来るように思います。ですので、時間や境が許せば、やはり試験前に、見学をし、そこで働く方の話をきくことをおススメします。


いかがでしたでしょうか?

ソーシャルワーカーの就職活動は、夏以降に本格化します。
ですから、今の時点で、なにもしていなくても焦らなくて大丈夫です。


ソーシャルワーカーを目指すみなさんが、希望する就職先に決まることを願っています。
そして、いつか、どこかで一緒に働くことができることを楽しみにしています。

代表コラム)なぜ、ソーシャルワーカーがソーシャルアクションを為すことが必要なのか?

26 4月 , 2017,
SCAスタッフ
No Comments

nsan
ソーシャルワーカーは誰もが暮らしやすい(活躍できる)社会を実現するため、目の前にいる困りごとを抱えた人への個別支援だけではなく、その人の困りごとを生み出している社会構造そのものへの働きかけ=『ソーシャルアクション』を積極的に実践していく必要があります。ですが、なぜ、ソーシャルアクションが必要なのでしょうか?

具体的にはどのようなことなのでしょうか?
これを読んでくださっているみなさんと一緒に、以下、Nさんのエピソードから考えてみたいと思います。

====================================

Nさんは、豆腐屋を営む両親のもと、一人っ子として大切に育てられました。
都内大学経済学部進学を機に、実家を出て、大学卒業後は、通信機器メーカーの営業職として就職。お付き合いした女性はいましたが、結婚はせず、独身。幼少期から家族関係は良好でしたが、母親はNさんが31歳のときに末期ガンが見つかり、発見後1年ほどで亡くなりました。

母親の死後、父親から、「豆腐屋を継いで欲しいので、実家に戻ってきてほしい.一緒に手伝ってほしい」とお願いされるも、営業職の第一線で活躍しており仕事が生き甲斐であったNさんはそれを拒否、父親と言い争いになり、確執が生まれ、勘当状態となり、その後、父親とは疎遠となり、10年以上音信不通状態となりました。

数年ほど前、リーマンショックの煽りをうけ、会社の業績が悪化.当時40歳のNさんはリストラに会い、失職。失業保険の手続きをしハローワークで再就職先を探すも、なかなか見つからず、失業保険、預貯金など数か月分の生活費は徐々に目減りし、家賃を支払うことが難しくなりました。

お金を借りることができる友人知人はおらず、父親に詳しい事情は伝えずに電話でお金を貸してくれないかと聞くも「久しぶりに連絡してきたと思えば、金のことか。お前のことは勘当した。もう親子ではないと伝えたはずだ」と即電話を切られ、金の工面の目処が立たなくなったNさんは、消費者金融、闇金などにも手を出すも、その後も仕事は決まらず、アパートに取り立てがくるようになります。

 

それがきっかけで、大家から退去を強く求められたため、キャリーバックとボストンバックに収まるほどの荷物に収め、借金は踏み倒した状態で、借りていたアパートから退去することになりました。

 

その後、友人知人宅を渡り歩くが、2週間ほどで、泊めてくれる友人の宛てもなくなり、カプセルホテルやサウナで寝泊まりするも、手持ち金が尽きてきたため、日雇いの仕事を探しては、日銭を稼がなければならなくなる。日雇いで得たお金は、日々の食事(コンビニ・ファストフード)と、寝床となるカプセルホテル、サウナ代で消えていきます。

服の洗濯も3日に1回、5日に1回と、身なりは汚れ、とてもではないが、再就職活動など行える状態ではなくなりました。

再度アパートを借りるにも初期費用や保証人が必要になります。Nさんは、まずはアパートの初期費用を貯めるために、生活費を削るようになり、食事は1日1食となり、カプセルホテルやサウナの使用を止め、ネットカフェに寝泊まりするようになります。

複数のネットカフェを回ってみて、シャワーやフリードリンクがあるところ、自分と同じような状況に置かれている人たちが多く使用しているネットカフェがわかるようになり、「寝床にしている人間」を排除しないネットカフェを長く利用するようになりました。

だが、1.5畳の個室は寝返りもまともにうてません。いびきをかけば、隣のブースの利用者から壁を叩かれ、ときには隣のブースの人間のいびきにより睡眠を妨害されます。そんな環境の中、日中、肉体労働で疲れた体を休めることができず、疲労も蓄積していき、疲れを紛らわすために、酒やタバコに手を伸ばすようになり、アパートの初期費用は一向に貯まりませんでした。

入院数ヶ月前は、仕事中に意識が朦朧とすることや、胸がひどく締め付けられるようなことがありましたが、会社を辞め、健康保険証もなく、所持金も少なかったため、病院に受診はせず、生活保護も考えましたが、テレビで「若くて働ける人間は受けられない」と聞いたので、無理だろうと思っていたそうです。

そんなある夏の日、日雇いの建設現場で、意識を失い、救急車で緊急入院となりました。

====================================

Nさんは、架空の人物です。
ですが、Nさんと同じようなエピソードをもった人たちに、福祉現場のソーシャルワーカーたちは日々出会っています。

お金がなければ、生活保護の申請のサポート。
住まいがなければ、住まい探しのサポート、など。
その人が「今まさに、困り、必要としているサポート」をソーシャルワーカーたちは、日々提供しています。

ですが、それは、傷に延々と絆創膏を張るような対処であって、それだけでは不充分なのです。


「Nさんのような人たちが、どうすればこれ以上増えないで済むのか?」


この問いを考え、目の前にいる人への支援を通じて、社会に必要な仕組みをつくっていくための働きかけが、ソーシャルアクションです。

そして、「Nさんのような人たちが、どうすればこれ以上増えないで済むのか?」という問いを考えるヒントは、福祉現場には溢れています。現に、Nさんが救急車で病院に搬送されるに至るまでの経過を、医療機関に勤務するソーシャルワーカーは支援の過程で聞くことができる立場にいます。

 

・家賃を滞納した時点で

・アパートを強制退去になった時点で

・ネットカフェに住まうようになった時点で

・生活保護も考えたが、テレビで若くて働ける人間は受けられないと聞いたから・・・

 

例えば、上記に至る前のタイミングで、Nさんに何かしらの情報やサポートを届ける仕組み(や制度)があったとしたら、Nさんは、受診を控えて、救急車で運ばれてくること(つまりは、階段を転がり落ちること)はなかったかもしれません。

 

わたしたちソーシャルワーカーは、Nさんと同じような人を増やさないために、なにができるでしょうか?

 

Nさんという人は唯一無二の個人ですが、同じようなエピソード、社会的背景を有している人を支える仕組みづくりは、Nさんという個人の事例から考えることができます。



「人生を生きていく中で、さまざまな困りごとが生じたとしても、それによって階段を転がり落ちることのない社会、もし、転がり落ちたとしても、登りやすい階段が用意されている社会」


そんな社会をつくるために、社会構造そのものへの働きかけ=『ソーシャルアクション』を、福祉現場のソーシャルワーカーたちが為していくことが必要なのです。


個人を支えることを通して、社会をよりよいものに変えていく。

この職業のミッションは、とても社会的意義のあることだと、私たちは思っています。



【ご案内】
Social Change Agent養成プログラムは、”社会福祉の現場から、社会を支え、そして、より良い社会をつくるための方法をデザインする”ためのソーシャルアクションに必要な、マインド(意識)、ネットワーク(仲間)、スキル(技術)を得るために、学び合う場です。 未来を切り開くソーシャルワーカーを志す皆さんの参加をお待ちしています!! 

 

【ご報告】『SCAの今後10年の事業方向性について』横山

25 10月 , 2015,
SCAスタッフ
No Comments

logo
 
いつもSCAをご支援いただき、どうもありがとうございます。
代表理事の横山北斗です。

本日は、SCAの今後の事業の方向性について、皆さんにお伝えをさせていただきます。
少し長くなりますが、お付き合いいただけますと幸いです。

任意団体として2013年8月に立ち上がったSCAは、過去2年の間、ソーシャルワーカー同士のネットワークづくりや研修、情報発信を行い、450名の福祉を学ぶ学生さん・ソーシャルワーカーの方たちと出会い、メルマガの購読者も1000名を超えるまでになりました。

ですが、任意団体として立ち上げた頃からの問題意識である
「福祉業界からソーシャルアクションを起こしていく」ということについては、正直手を付けられずにいました。

「ソーシャルワーカーは、クライアント個人の問題を通して、社会の不条理さを垣間見る」
「福祉の現場から、個人の問題を社会化する回路を拓くこと、それが、ミクロからマクロへと言われるソーシャルワークの展開であり、その展開を拓く矛(ほこ)こそが、ソーシャルアクションである」

そのような問題意識がありながら、なぜSCAが、SWer同士のネットワーク作りや研修や発信を「組織化」してまでやる必要があるのか?全国、都道府県、地区レベルで数多の職能団体がある中で、研修やイベントを手弁当で自分たちの時間や自己資金を投入し続けてまでやるべきことなのか?

という疑問があったことも確かです。

そんな折、7/5に開催した「福祉ってどんな仕事?」に、難病の子どもさんをサポートする親御さんの会の代表のお母さんが参加くださいました。「なぜ、当事者団体の人が参加されたのだろう」と思い、会終了後に、その方に参加理由をお聞きしました。

その代表の方は、全国各地の同じ難病を抱える子どもさんのご家族から、日々相談を受ける中で、ご自身の力不足を感じている、と口にされ、どうしても生活上の困りごとについては、各地方の資源や細かい制度について知っているわけではないので、対応が難しく困っている、ということをお話くださいました。

そのなかで、ソーシャルワーカーという仕事を知り、「この職業は、きっと自分たちの助けになってくれるだろうと思い、イベントに参加してソーシャルワーカーの仕事について詳しく知りたいと思った」という言葉を発せられました。

その言葉を聞いた時、私たちは、決して大げさではなく、この2年間を恥じました。
「お前たちは、誰の方を向いているのか?」という問いに、頭を強く殴られた気がしました。

社会保障等の制度上に位置づかない、自由にソーシャルワークができる環境であるにも関わらず、常に私たちSCAの主語は「ソーシャルワーカー」でした。

その次の日、わたしたちは、話し合いをもちました。
そして、まずは、さまざまな当事者団体に自分たちで出向いていき、話を聞くことに決めました。

7月以降、この3ヶ月の間、当事者団体の方達に話を聞き、今後10年間、SCAが組織として何を為すべきかということについて、コアメンバーで話し合いを重ねました。

ソーシャルワーカーはたしかに、現場でクライアントに一番近いところで、その人たちの声を聞くことができるところにいます。ですが、当然、「支援の現場」の外にも、つまりは、社会には、さまざまな困りごとをかかえている人たちがいます。
その人たちの声を聞くために、自分たちが足をつかっていくこと。それが、まずはじめに、私たちSCAが為すべきことだったのです。

この3ヶ月間、当事者団体の方たちにお会いする中で、私たちに対する厳しい言葉をいただくこともありました。それは、「ソーシャルワーカーは、自分たちのことをわかってはくれない。本当のニーズを汲み取ってもらえない」というものです。
それは、もちろん全てが本意ではなく、「支援する・支援される」という場の外であるからこそ、口にしてもらうことのできた対等な言葉、でした。

過去出会ってきた問題意識を有するソーシャルワーカーの方たち、そして、さまざまな困りごとを有している当事者団体の方たちと言葉を交わす中で、制度に位置付かない場面でソーシャルワークを展開できるSCAだからこそ、支援する・されるの場で奮闘されているソーシャルワーカーのみなさんとのネットワークを活かし、組織の外で、当事者の方々と共にパートナーとして協働する場をつくることができるのではないか、という思いを抱くに至りました。

『当事者の声こそが、今よりも社会をよくしていくために必要な「変革の種」である』
恥ずかしながら、そのことに気がづくまでに2年間も費やしてしまいました。

_______________________________________________________

今後、わたしたちは、「当事者・支援者協働のソーシャルアクションプラットフォームをつくる」をミッションとして、
事業を行っていきます。現時点で数カ所の当事者団体の方々と具体的な話し合いの場やアクションの設計に入っています。
11月28日には、ケアラーアクションネットワークさんと協働でワークショップを行います。これは、障がい者やその家族の多様な思いや背景を社会福祉従事者にこそ知ってほしい、という声をもとに協働に至ったものです。

今後2年間は、現場の方向けのイベントや研修と並行し、実際に当事者団体とSCA協働のソーシャルアクション事例をつくること、かつ、すでに行われている(た)ソーシャルアクション事例を収集しデータベースをつくり、大学の先生方にも関わってもらい、ソーシャルアクション・プロセスモデルを構築します。過去、日本国内において、ソーシャルアクションのプロセスを定義し、そのモデルを大掛かりに研究したものはありません。それゆえ、私たちが手をつける必要があると考えます。

また、当事者団体、支援団体(NPO等)、支援者(ソーシャルワーカー等)による「ソーシャルアクションネットワーク」の仕組みづくりについても検討、構築していく予定です。
3年後以降は、上記をもとに、ソーシャルアクションの手引きを作成、研修化し、学生さんや現場の方に向けて、ソーシャルアクションに特化した研修を開催します。
研修受講者の方々の一部に、実際に当事者団体との協働アクションに関わってもらえるよう、当事者団体と研修受講者間のマッチングやコーディネートを行っていく予定です。

社会福祉業界の周縁に身を置く非営利組織として、当事者団体の人たち、業界の外の組織や人々と社会福祉業界をつなぐ、小さな「窓」になれれば、とも思っています。現にSCAのコアメンバーの2名は、この2年の間で出会った、社会福祉業界以外の人間です。
 
本年内に、社会学系のWEBメディア「シノドス」発のメールマガジン「困ってるズ」との協働もスタート予定です。
多くの賛同者や関係者を巻き込み、より多様で様々な方法論を織り込んだ、ソーシャルアクションのプロセスを生み出していきたいと考えています。
_______________________________________________________

わたしたちは、Social Change Agencyという組織をつくることで、社会に旗を立てました。
「旗を立てること」とは、「社会に問いを立てること」でもあります。

聞こえのいい言葉に逃げず、常に社会に対して問いを立て続けることこそが、今後も引き続き、私たちに課せられることだと思っています。
私たちは20代、30代の人間が中心の組織であり、今後50年、60年後の日本の未来を見届けることができる人間たちです。
それは、言い換えれば、私たちには、「自分たちが口にした言葉に対する責任」を、今後、背負い続けていくことになるということだと考えます。それが、社会に問いを立てた者たちの責務である、と私たちは思っています。

最後にみなさんにお願いです。
SCAの事業は現時点で、介護報酬や医療報酬、税金に基づかない事業のため、
正直なところ、稼働資金がなく、ほぼ全て私費で賄っている状態です。

Read More…

『雑感)教えることを通じて気づいたこと』横山

13 10月 , 2015,
SCAスタッフ
No Comments

今秋から、専門学校の社会福祉士養成課程で保健医療サービスの授業を受け持っています。
私が受験した当時(8年前)には、「保健医療サービス」という科目はありませんでした。
試験科目数も13科目から16、そして現在は18科目と数も多くなり、科目の内容をみると、社会福祉士が必要とされている領域が広がっていることを感じます(あくまで、科目だけをみると、ですが。)

今週は、授業をする側に立ってみて感じた「ものごとを構造的に理解しようとするクセをつけることの大切さ」について、思ったことをお伝えしていきます。

Read More…

”下流老人”出版が生みだした社会的インパクトについての一考察(前編)【代表:横山】

9月 , 2015,
SCAスタッフ
No Comments

test
下流老人 一億総老後崩壊の衝撃 (朝日新書) 藤田孝典  (著)

「下流老人」の勢いが止まりません。

本書は、NPO法人ほっとプラス代表理事(社会福祉士)の藤田孝典さんの著作です。
初版部数が数千部止まりの新書が多い中、10万部(公称)を超えるベストセラーになりました。

出版不況と言われて久しいですが、10万部突破という事実がもつ意味は、社会福祉業界においても、そして、現代のソーシャルワーカーたちの技術的側面からも、考察すべき事象だと私は思います。今週から2回にわたり、「下流老人」が社会に生みだしたものについて考えてみたいと思います。

Read More…

インテーク面接で気をつけるべきこと

5 7月 , 2015,
SCAスタッフ
No Comments

本エントリでは、【インテーク面接で大切なこと】と称し、クライエントとの初回面接(インテーク面接)の導入における基本的なことですが、とても大切だと考える項目について述べていきます。
me  

1.自己紹介をする
・クライエントの目を見て、自分の名前をしっかり名乗る。
(騒がしい場所や他者の目がある場所で、初対面の挨拶を交わして、その場所から移動し違う場所で面接を行う場合は、互いが席についた時点で、改めて上記を行うと、面接の導入をおこなう上ではよいと思います)

Read More…

医療ソーシャルワーカーという仕事

21 5月 , 2015,
SCAスタッフ
No Comments

hakui
医療ソーシャルワーカーとは病院で働いているソーシャルワーカーのことをいいます。

Medical Social Worker を略してMSWと呼ぶことも有りますが、そう呼ぶのは日本のみです。

さて、病院で働いている医療ソーシャルワーカーとは、どんな仕事をしている人なのか?
医療ソーシャルワーカーの仕事に興味をもたれた方が、「なるほど。そういう仕事なんだな」と少しでもイメージしてもらえることを目標に、書いてみようと思います。

病院のソーシャルワーカーは、病院に勤務し、そこに外来通院、入院している患者さんとその家族の「病気になることで生じるさまざまな困りごと」の相談にのる仕事をしています。

【病気になることで生じるさまざまな困りごと】

  • 入院費っていくらかかるんだろう…
  • 入院して仕事を休み収入がない…生活費も心配
  • 退院した後、元通り仕事に戻れるかな
  • 退院した後、学校に行くのが心配…
  • 病気で体が弱ってしまった…。これからも一人で生活ができるだろうか…
  • 病気のことで家族との関係がギクシャクしてしまった
  • 自分が入院したら、子どもを見てくれる人がいない…
  • 自分が入院したら、父親(母親)を介護する人がいない…どうしよう
  • 退院しても、介護が出来ない(介護をしてもらえる人がいない…)
  • 誰かに話したいけれど、話せる人がいない
  • 心配なことが多くて、どうしたらいいかわからない

などなど

病気になることで、起こる困りごとはたくさんあります。

そういった困りごとについて、ゆっくりとお話を伺いながら、どのような困りごとに対して、どのような方法で、解決に向けてお手伝いをさせていただくかということを患者さん家族と一緒に考えていきます。参照:医療ソーシャルワーカー業務指針(厚生労働省保健局長通知)

病院のソーシャルワーカーは上記のような困りごとについて、「患者さん家族にとって、病気や障害がその人たちの生活にどんな影響を及ぼしているのか、及ぼす可能性があるのか」ということをイメージしながら、関わり、解決に向けたお手伝いをしていきます。

以下は私の個人的な見解を図的イメージにし、まとめたものです。

 

【平穏な日常生活】

1

人の生活は、経済的安定、人間関係のネットワーク、住まいの安定、という3つの土台に支えられているのだと思います。

  • 日常生活を送るに不自由ない収入・財産【経済的安定】
  • 家族や友人や会社の人などの人間関係【人間関係のネットワーク】
  • 安心して寝起きのできる住まい【住まいの安定】

最小単位の組織としての家族【家族というセーフティネット】

3つの土台が不安定な状態に、「病気」が大きな衝撃を与えると、より一層、生活が不安定な方向に傾いてしまう可能性が高いのです。

 

【突如やってきた病】

2

 

  • 病気で仕事が出来ない…医療費、生活費どうしよう…。他の家族も養っていかなきゃいけないのに…
  • 病気で学校に行けない…勉強が心配。同級生においていかれないか心配…
  • 病気で子育てが出来ない…親も友達も手助けしてくれなそうだ…どうしよう。
  • 病気で親の介護が出来ない…自分が介護してあげなければ、相手は生活が出来ないかもしれない…困った…

 

3

 

その人が担っていた役割の遂行が、病気により難しくなる、ということはその人にとってとてもつらいことだということが想像できます。また、病気になり役割を遂行できなくなることで、その人に支えられていた他の家族の生活に新たな困りごとが生じてくることもあります。

「自分が入院したら、妻(夫)の介護は誰もしてやれない。だから入院はしない!」
「シングルマザーの自分が家を空けたら、子どもは誰がみるの?入院なんてしていられないんです…」


そんな言葉を聞くことがあります。
そんなとき、患者さんがしっかりと医療を受けてもらい治療に専念してもらうことが出来るように上記のような困りごとに対して、医療ソーシャルワーカーはどんな手立てがあるかを一緒に考えていきます。



【病気は治ったけれど…】

4

病気の治療は終わったけれども、家に退院してからも薬を飲み続けたり、病気によっては一生付き合っていかなければならない病気であったり、自分の体に障害が残って生活がしづらくなったり、仕事や学校生活に支障をきたしたり、高齢の方は入院してあまり動かなかったことで足腰が弱ったり、認知症になってしまったり…誰かに日常生活上のお世話をお願いしないと一人では生活ができなくなったり…

 

病気への治療だけでは、なんとも解決できないことが起きてくることもあります。
医療ソーシャルワーカーが出会う患者さん家族は、まさにそんな状況にいる人たちです。

 

【退院後の生活に向けて】

ときに、病気や障害により、入院前と全く同じ生活には戻れないこともあります。

ソーシャルワーカーは、患者さん家族が可能な限り望む生活が送れるように、さまざまな困りごとのひとつひとつに対し、ありとあらゆる社会資源を活用して、生活を再構築していくお手伝いをしていきます。


【ありとあらゆる社会資源】

5

 

ソーシャルワーカーにとってはアイデアも人も制度もサービスも、患者さん家族自身がどう生きていきたいのかをサポートするひとつのツールであり、患者さん家族がどうしたいか、どうありたいか、どう歩んでいきたいかということをきちんと理解しようとすることが、「患者」ではなく「生活者」としてのその人たち自身ををサポートしていく第一歩なのだと思っています。

 

6

【補足:人はみな社会的な役割を有している】

患者さん家族が対峙している「現在」を理解しようとする際に、病気や障害により、その人が担っている役割に、どのような変化が生じているか、生じる可能性があるか」ということを考えることはとても有意なことだと思います。

例えばですが、病気により就労が困難になり働く場所が奪われるということは、経済的なダメージのみならず、就労がその人の「生きがい、尊厳」であるとき、その人の「生きがいや尊厳」をも脅かす危険があるわけです。

家族を経済的に支えている

家族を精神的に支えている

社会人としての役割

学生として役割

親として役割

子どもとしての役割

誰かにとっての大切な人として

誰かを自分が支えている

誰かに自分は支えられている

病気や障害は、上記のような「役割」を遂行させえなくし、その人の「生きがいや尊厳を脅かす刃」にもなり得るのです。

その人がどうしたいか、どう生きていきたいかという未来は、その人が「何を生きがいとして、何を以って自身の尊厳を得てきたのか」という過去の延長線上にあります。そして、医療ソーシャルワーカーと患者さん家族は「現在」出会っているわけです。

医療ソーシャルワーカーは、「何を生きがいとして、何を以って自身の尊厳を得てきたのか」という、その方の歩んできた過去を教えてもらいながら、「これから先、どうしていきたいか。どのように生きていきたいか」という未来に向けて、さまざまな困りごとに対峙しなればならない「現在」に寄り添い、一歩を踏み出せるようお手伝いをさせてもらうという、出会った人の数だけある唯一無二の人生に関わらせてもらうことのできる、とても責任のある、そしてとっても素晴らしく魅力的な仕事です。



 

医療ソーシャルワーカーを目指す方が1人でも多く増えることを心から願っています!



*お住いの近くに医療ソーシャルワーカーがいる病院があるか調べたい場合は以下、日本医療社会福祉協会のホームページから調べることができます。ご活用ください。


日本医療社会福祉協会HP

 

代表理事:横山

なぜ対人援助職に自己覚知が必要なのか?

5月 , 2015,
SCAスタッフ
No Comments

se
対人援助職につかれている、つきたいと思っている方でしたら必ず耳にしたことがあるだろう「自己覚知」という言葉。
この言葉自体に明確な定義は無く、簡単に言えば、「自己覚知」→「自分を知ること」→「職業的な自分をコントロールするために、自分の依って立つ価値観について知っておくこと」とでも表現しておけばおおかた間違いではないかと思います。

さて、では自分を知るためには・・・
自分がどんなときに感情が揺れ動かされたりするか。 自らの正義とはなにか。どんな事象を不条理だと感じるか。 自分がどんな価値観について受容でき、そして決して受容できなものは何か。 などなど。

そんな問いを内なる自分と対話し、答えを見つけながらすすめていくのが「自己覚知」のプロセスなんだと個人的には解釈しています。


【自己覚知は自分自身のパフォーマンスを最大限に発揮する状況を常につくりだすために必要】

自己覚知を語られるときによく言われる、自分がどんなことに怒ったり、悲しんだり、感情を揺れ動かされるのかなどということを「自分の理解の範疇に置いておくこと」により、あらかじめ自分の身体と心に生じるであろう負の変化を予測できるようになります。 その結果、自身に生じる負の変化に対する防衛反応、事前対処を取ることができ、外的な要因に可能な限り左右されずに、自分自身の中に余裕を生み、目の前にある事象に対し自分のエネルギーの多くを投入することが出来ることが可能になるのです。

つまりは、自分自身のパフォーマンスを最大限に発揮する状況を自分でつくりだすわけです。メジャーリーグベースボールで活躍しているイチロー選手とか、まぁ、いろんなところでいろんな人が言っていることですね。

つまりは 自分自身のパフォーマンスをいつどんなときも最大限に発揮する状況を常につくりだせる心と体の準備をする。(よくいうところのモチベーションの維持も含まれますでしょうか)
そのためには あらかじめ自分の身体と心に生じるであろう負の変化を予測し、防衛反応、事前対処を取る必要がある(負の要因から受けるダメージを最小化する) 防衛反応、事前対処を取るためには 自分がどんなことに怒ったり、悲しんだり、感情を揺れ動かされるのかなどという価値観を「自分の理解の範疇に置いておくこと」が必要。(つまりは、これがよくいう自己覚知の部分) なので、自己覚知って言葉が対人援助職の専門用語みたいに使われているだけであって、やってることは多くの業界で活躍している方たちが自分自身のパフォーマンスを最大限に発揮する状況を常につくりだすためにやっていることのひとつだと思うわけです。

________________________________

上記は自身の負の変化について述べたものですが、もちろんプラスの変化が生じる要素(自分にとっての心地よいモチベーションを挙げてくれる人物事たち)も自己覚知には必要だとは思いますが、楽しく心地よい気づきを積み重ねていく中だけでは自己覚知のプロセスは成熟はしていかないと思うのです。

「自己覚知」の第一歩は、自分の中にわき上がるドロドロとした感情に向き合い、胃の底が焼けるような感覚を感じるところからはじまるのだと思っています。
他人のためと言いながら、自分のために悩み、自分の利を優先させようとするときに、そんな自分に気づき、自分を恥じ、苦しむ。ときに、その気付きから逃げないで、恥ずべき自分と向き合う、それが自己覚知の最大のチャンスであり、 「自分を恥じ、苦しむ」ということは、つまりは自分の中で相反する価値観が衝突してるってことなんだと思います。ジレンマを感じ、消化できないドロドロした感情が自分を侵食していくあのいやな感覚って誰でも一度は経験したことがあることだと思います。

本エントリを読まれている学生さんに一言お伝えするとしたら 『せめて学生の時に「対人援助職をなぜ志すのか」という問いに対する、対外的なものでない、内なる理由を考え抜いておくべき。』 とお伝えしたいです。

なぜなら、上記の問いを自身の中で考え抜いた、その答えではなくプロセスこそが、自己覚知の大きな第一歩になると思うからです。そして、考え抜いたそのプロセスは、現場に出てからの自分を支えてくれる屋台骨にきっとなると思います。

上記で述べた理由から、私は自己覚知のヒントやきっかけを最初から外に求めるということはナンセンスだと思っています。そしてまた対人援助職の専売特許のように語るのもおかしなことだと思っています。

誰かに教えてもらう「自己覚知」のプロセスには孤独がありません。 ときに誰かの手を借りることがあったとしても、孤独を経ない自己覚知はあり得ないと個人的には思います。

「誰かを救いたい」っていうコインの裏は「自分が救われたい」っていうデザインでした、っていうオチもあるのかもしれません。 自己覚知というのは、「孤独の中でジレンマを抱える自分と向き合い逃げないこと」というとてもつらくて苦しい道のりなのだと思います。

代表理事 横山

Read More…