講師紹介#1 本田由紀先生

こんにちは、SCA研修プログラム運営メンバーの熊坂です。

いよいよ2021研修プログラムがスタートします!
初回は基調講演として、「日本社会の変容」というテーマで本田由紀先生に登壇いただきます。この記事では講演当日にさきがけて、講演をお願いした理由や、先生のプロフィール・ご著書、昨年参加者からの感想をご紹介します。

基調講演スケジュール: 2021年10月17日(土)10:00~12:00(オンライン)
お申し込みはこちら
2021研修プログラムについてはこちら

目次

  1. 本田先生にお話しいただきたいと考えた理由
  2. 本田先生プロフィール・著書
  3. 昨年参加者からの感想
  4. おわりに

本田先生にお話しいただきたいと考えた理由

はじめにSocial Change Agency 代表の横山から、テーマで本田先生にお話いただきたいと事務局が考えた理由をお伝えします。

ソーシャルワーカーがクライアントとの関わりと通して、個人の問題を社会の問題と関連づけて捉え、それらを実践の対象としようとするとき、社会なるものを構成する要素について広く・深く理解することが必要になります。

例えば、孤独死された高齢者への関わりを通して、地域や社会の構造を変える必要があると考えたとき、「とりあえずは見守りの強化が必要だ」といったような解決策になるかもしれません。

ですが、その地域の孤独死に至った高齢者の多くに、介護保険サービスの打ち切りによってヘルパーの訪問が無くなっていた等の共通のパターンが見られたとき、なぜ介護保険のサービスが打ち切られたのかという問いが生じるかもしれません。そして、その問いによって、地域の産業構造や介護保険サービスなどの制度の構造や変化に目を向け、それらを実践対象にしたアクションを展開することになるかもしれません。

このように、日本社会の構造やその変化から社会の様々な構造について知り、構造を通して、人々の生活に生じる変化を捉えようとすることは、メゾ・マクロのアセスメントを精緻な説得力のあるものにします。

そしてその前提として、知識がなければ、目の前で起こっている出来事と社会とを関連づけ、意味づけて捉え、思考することができません。


今回、基調講演でお話いただく本田由紀先生は教育実践の場のみならず、多くの著作を通して、マクロな視点で社会の構造やその変容を発信してこられました。

当日のお話が、ソーシャルワーカーが現場で出会うクライアントと共に、メゾ・マクロのアセスメントを行うために必要な「マクロなデータなどを通して、日本社会の構造とその変容を広く知る」ことを後押ししてくれるものになると考えています。

本田先生プロフィール・著書

東京大学 大学院 教育学研究科 教授
日本学術会議会員
東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。専門は教育社会学。教育・仕事・家族という3つの社会領域間の関係に関する実証研究を主として行う。主な著書に、『若者と仕事』(東京大学出版会)、『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版、第6回大佛次郎論壇賞奨励賞)、『「家庭教育」の隘路』(勁草書房)、『軋む社会』(河出文庫)、『教育の職業的意義』(ちくま新書)、『教育は何を評価してきたのか』(岩波新書)、『社会を結びなおす』(岩波ブックレット)他、多数

昨年参加者からの感想

2020年度の本田先生の講演参加者の方の感想から、一部をご紹介します。「日本社会の構造的な課題が、仕事、家庭、教育の中でどのように発生しているか、それがどう少子高齢化に関係しているかと言う点がクリアーになった」

「社会構造を学ぶことで、クライエントが抱える課題を個人だけでなく社会の視点からもアセスメントすることの大切さを再確認させて頂きました」

「今の社会の中で多くの課題がありSWとして解決していきたいと思ってきましたが、課題が生まれた歴史的背景、課題の根拠となるデータなど自分の知識が非常に薄かったため、本日参加することで少し知識を増やすことができました。今そして今後自分は課題のどの部分にアプローチしているのか、課題の背景は何か等を考えながら取り組んでいきたいと思いました。」

「日本の将来に危機感を抱いている国民がどのくらい存在するだろうか?と考えさせられました。SWは職業柄、その多くが危機感を抱いていると思われます。常に世界や自国の状況を俯瞰し、課題意識を持ちながら、変化の一端を担っていく存在として、発信していくことも役割の一つなのだろうと感じました。」

今のままじゃいけないんだ!何とか変えていかなければいけないんだ!という本田教授の熱量を画面上からでも感じることができました」

おわりに

本田先生の基調講演のほかにも、対人援助職が、現場で出会うクライアントの課題を広い視点で捉え、ミクロ(個人の問題)からメゾ、マクロ(地域・社会構造上の問題)を対象とした実践を展開していくための土台となる、学びの機会を提供しています。

11月以降も、社会的排除論、社会正義、反抑圧的実践、ソーシャルアクションの各テーマで研修を実施しますので、詳しくは2021SCA研修プログラムのページをご覧ください。