グラフは、日本で最大の社会福祉系の職能団体である日本社会福祉士会の登録者数の推移を示したものです。ご覧の通りこの10年で10%も加入率が低下しています。社会福祉士有資格者の約10人に2人しか加入していないという状況です。医師会、看護師協会が、約2人に1人であるのに比べ、圧倒的に低い状況です。社会福祉士有資格者の全てが現場に出ないにしても低い水準であることは明らかです。
社会福祉従事者たちは、この数字に危機感を持つべきだと考えます。それはなぜでしょうか?
『現場の社会福祉従事者たちの意見を汲み上げ、政策主体に対し働きかけることができる運動主体が不在(日本社会福祉士会の組織率が約2割)であるため、福祉政策を決定する政策過程に介入する力が弱く、規模の大きいソーシャルアクションの実行が難しい状況にある。』
それが危機感を抱く理由です。
詳しい話は、12/6開催のイベントにてお伝えをさせていただければと思っています。
ソーシャルアクションに関連し、先月、SCAメールマガジンにて、「日本のソーシャルワーカーはソーシャルアクションを起こせないのか」をテーマに意見を募集させていただきました。以下、頂いたご意見を共有致します。
・日本の組織風土の問題(個が突出しにくい、一点突破を組織が許さない。出る杭は打たれる)
・ワーカー・クライエントの二者関係で完結し、ワーカー・クライエント・社会システムという視点が欠如しているため、マクロの問題に気づけない。
・そもそもSwerの社会問題への関心が薄い(Swerの意識の欠如)
・社会問題に気づいているがSWerの言語化能力の問題で表出・発信が困難。
もしくは、SWer自体が自身の代弁機能をあまり重要視していない。
・職能団体の弱体・形骸化(SWerたちを牽引できるプレイヤーの不在。
社会福祉視界の加入率は約20%、PSWは14%、介護福祉士は5%。
トップダウンで現場から問題を集積することさえできない。)
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長島様
ENDALSを始めたHiroさん、ALSの当事者であり、原体験を基にソーシャルアクションを起こしました。メディアを通して訴える反響は大きく、ENDALSへの参加者はすごい勢いで増えています。彼らは当事者たちにどのような支援が必要か、聞き取り調査を行いよりよい支援を目指して活動しています。これは当事者のソーシャルアクションです。歴史を遡るとハンセン病患者の人権について以前、法学部の教授の講演をうかがいました。関心のある弁護士たちで療養所で生活する人々に一人ひとり聞き取り調査をしてどのような生活をしてきたのか、人権問題として国に訴えてきた活動を耳にしました。同じような「支援者の活動」は年越し派遣村で有名になった湯浅誠も記憶に新しいです。
横山さんが指摘されているように援助する側、される側というパターナリズムは援助者を酔わせますし、優越感を与えるでしょう。多くのワーカーがそこに陥っているのならばある意味問題でしょう。しかしわたしはソーシャルアクションとこのパターナリズムは直接的には関係しないと考えています。ソーシャルアクションが行われていないのはもう一つの指摘にある職能団体としての不成熟さに加えて現場と研究との学術的な接触の不足、政治的な介入がないことにあると思います。つまり職能団体はあり、ソーシャルアクションが必要という声はあれどソーシャルアクションへつなげるための知識、方法、声、伝手が不足しているように思うのです。看護協会、医師会、弁護士会、リハビリなどわたしたちを取り巻く職能団体は政治的にも介入を進めています。ソーシャルワークとしてソーシャルアクションを起こすためには職能団体、学術団体が一体となって動く必要があると思います。
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北のソーシャルワーカー様
いつも読ませて頂いております。
ソーシャルアクションを起こしているソーシャル・ワーカーはおりますよ。多くはないです。でも発表の場で実践報告されておりますよ。社会福祉士の全国大会で実践報告もありましたし、東京社会福祉士会の方から「なぜ社会福祉士はソーシャルアクションを起こさないのか?ソーシャルアクションを学ぶ場がないのか?」という提言もありました。
ソーシャルアクションが毛嫌いされているのは社会運動・運動論と結び付けられてしまうからです。
でも学ぶ場がなくても創意工夫でソーシャル・ワーカーから社会を変えることはできます。かくいう私もやっています。
患者団体と一緒に国へ要求を挙げ変革しております。
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ふくながさま
ソーシャルアクションまで考えられる人が少ないから…では。福祉職は待遇が悪いとか、自分のおかれている目の前の事だけに追われているとか、そういう事にとらわれ、個別ケースで得た社会的に訴える必要がある事、について社会に訴えるという術を知らない。
世代的に事なかれ主義な人も多いかも。
あとは優しいから…という理由で福祉学科に進みそのままワーカーになり優しさしか取り柄のない人が多い。
もっと頭を使って人の人生と関わる社会変革を訴えて行く必要があるとおもいますが、ワーカーのみならず若い世代はそういう視点が抜け落ちてる人が多く、特に福祉業界は体制に流される人が多い気がします。
そもそも福祉とは、ソーシャルワークとはがわからず社会福祉士の、国家試験の勉強のための大学になってるのが問題では?と思ったり。
私はmswですが年々戦わない、いいなりワーカーが増えて転院させ屋にみずからなっていることに危惧しています。
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Coyoteさま
ソーシャルワーカーはなぜソーシャルアクションを起こせないのか?
まったないと私は認識していませんが、いろんな意味で「乏しい」のは事実でしょう。この問いに対して私見を述べさせてください。
起こせない背景はいくつも挙げられるでしょう。すでに指摘されていることの他に、「政治との乖離」は考えておきたいところです。投票率の低さが示す通り、この国で参政権を持つ多くの人達は、「どうせ誰がやっても同じ」「世の中なんか変わらないよ」という気分にあるのではないでしょうか?これはソーシャルアクションとは対局のポジションでしょう。このような土壌にソーシャルアクションを起こすソーシャルワーカーが育つ余地はない、と考えています。
もうひとつ、立場を受け入れる覚悟もあります。ソーシャルアクションに真面目に取り組めば、様々な批判や誹謗中傷、バッシングを受けることでしょう。そのほとんどは根拠のないものかもしれません。時に、仲間であるはずのソーシャルワーカーからも攻撃されるでしょう。世の中に蔓延る差別や偏見が自らに向けられる。。。その現実を受け入れ、そこに向かってアクションを起こせるのか?
そう問われた時に、後退りするソーシャルワーカーが多いのは自然なことなのかもしれません。
なぜなら、そういう現実は教科書に書かれてませんから。
ただ私は悲観してません。現に、SCAのような活動が起こっているわけですし、「いくら相談支援をしたところで、現場だけでは解決できない問題がある」ことに気付いたソーシャルワーカーは増えてきていると実感しています。
その先に何があるのか?それを見てみたいと思います。
放言、どうかお許しを。
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