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『雑感)教えることを通じて気づいたこと』横山

13 10月 , 2015,
SCAスタッフ
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今秋から、専門学校の社会福祉士養成課程で保健医療サービスの授業を受け持っています。
私が受験した当時(8年前)には、「保健医療サービス」という科目はありませんでした。
試験科目数も13科目から16、そして現在は18科目と数も多くなり、科目の内容をみると、社会福祉士が必要とされている領域が広がっていることを感じます(あくまで、科目だけをみると、ですが。)

今週は、授業をする側に立ってみて感じた「ものごとを構造的に理解しようとするクセをつけることの大切さ」について、思ったことをお伝えしていきます。



授業の準備で社会福祉士試験関連の教科書や試験対策テキストに目を通しましたが、その多くは、重要項目を赤字にし、文章の中で重要項目を覚えるようなスタイルで、これでは、せっかく覚えたことも、国家試験が終わると頭からは抜けていってしまうだろうなと感じるものでした。

例えば、私が担当している「保健医療サービス」では、授業の中で「医療保険」を取り扱います。
その内容は「社会保障」の授業と重複する部分も多いです。ですので、授業で、医療保険の詳細を伝える前に、「なぜ、社会福祉士が医療保険を学ぶ必要があるのか」、そして、医療保険よりも上位概念である、社会保険、社会保障との関係性をきちんと頭に入れてもらった上で、「対人援助の価値や倫理、技術」と「社会保障制度の全体理解」が両輪で必要であることが、できる限り伝わるように工夫して準備をしました。

漫画「ブラックジャックによろしく」のフリー素材を活用し、「あなたがソーシャルワーカーとして、医療費が払えないので困った、という患者さんの家族からの相談を受けたらどうするか?」というところからはじめました。

・医療保険制度を学ぶ意義
例えば、総計50万円の請求書がきたが、医療費が支払えないという相談を患者さん家族から受けたとき、何を知っていれば、何を確認すれば、この人が医療費を軽減できるか否かがわかるのか?(これは、自分や家族の医療費に関しても言えること)
請求書を読み解くことができ、かつ、医療保険制度についての知識がなければ、制度利用が可能か否か判断できない。つまりは、クライアントに対し適切な援助ができない、というところからスタートしました。


・社会保障>社会保険>医療保険
そのうえで、医療保険は、社会保障のうちのひとつであり、クライアントを援助する上での資源であるので、医療保険だけではなく、社会保障制度の各々が、どういった方法で、どういった優先順位で利用できるのかを知っておくことがクライアントを援助する上で重要です、ということを、以下のような順番で伝えました。


社会保障は憲法25条にて規定されている。

社会保障は「社会福祉、社会保険、保健医療、公衆衛生、公的扶助」から成り立つ。

社会保障の方法と領域の内訳

医療保険は、5つの社会保険のなかのひとつである。

現場で、医療保険制度をクライアントの援助において活用する際の優先順位(他の社会保障制度との関連)

医療費支払いの相談を受けた際に、確認すべき事項と、活用できる各制度の関連を示したフローチャート

細かい個々の制度の説明


ということを図式化して伝えました。
そのうえで、次に記す、実際に現場でクライアントを援助する上で、社会保障の利用の優先順位を確認しつつ、「総計50万円の請求書がきたが、医療費が支払えないという相談」という相談について、授業の最後にケーススタディを行いました。


<社会保障の利用の優先順位>

(優先順位が高い↑)
1.損害補償
加害者が直接責任を負うもの。民法上の責任におよぶ(加害者から直接の損害賠償、自賠責保険など)

2.業務災害補償
業務に起因する疾病に対して補償的に行われるもの(労災保険、公務員業務災害保証法など)

3.社会保険
加入者が保険上の事故に備えて保険料を納めるもの
(健康保険、国民健康保険、介護保険、船員保険、共済組合、厚生年金、国民年金など)

4.社会福祉
国民が生活していく中で不足するものを補うもの
(児童福祉法、老人福祉法、障害者総合支援法など)

5.公的扶助
(生活保護)
最低限の健康で文化的な生活を送ることが困難な場合に、その水準に達するように底上げするもの。
(優先順位が低い↓)

________________

社会保障制度の活用に限らず、アセスメントにおいても、その方が置かれている状況を、
可能な限り構造的に理解する(そうするために、必要な質問ができること)は、とても重要です。


本メールマガジンの読者は、学生さんも多いと思いますので、今回はこのようなテーマでお伝えをさせていただきました。

「現場でクライアントを支援すること」から、視点をひとつあげると、「自分以外にクライアントを支援する人をどう育てるか」という問いが出てくるはずですので、「どのように自分達がもっているものを、対象になる人に対してわかりやすく教えるか」というテーマで、複数人で演習をするようなプログラムが、現場に出た後にもてるとよいのだろうなとも思いました。

教えることで教えられる、学ぶことができることの多さに気づかされている今日この頃です。


<参考エントリ(横山の私見です)>
・ソーシャルワーク業界の人材(新人)育成について考える-組織が優秀なソーシャルワーカーを採用するための方法論と併せて

・蛇の目ミシン健康保険組合ホームページ(とてもわかりやすいので紹介します)