【連載】『同じ空の下にいるvol4-6』MIKO【ソーシャルワークタイムズ掲載記事】

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弊法人メールマガジン「ソーシャルワークタイムズ」にて連載中のmikoさんによる「同じ空の下」の過去記事を掲載いたします。ご自身も難病を抱えながらソーシャルワーク実践の現場に立つ日々を、学生時代のエピソードから今に至るまで、語っていただいています。今後随時、掲載していく予定ですのでお楽しみに!最新号を読みたい方はぜひ、ソーシャルワークタイムズ購読をお願いします。

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こんにちは、mikoです!寒い日が続きますね。私は寒さのあまり、動きがかたつむり並にスローになっています…。さて今回からは、私の仕事・働くということについてお話していこうと思います!

 

まずは私の仕事について。
現在私は、精神科病院で精神保健福祉士(PSW)として働いています。

精神保健福祉士(PSW)とは

 

今日は、精神科の入院形態についてお話させて頂きます。
精神科では、患者さん自身の同意が無くても患者さんに入院治療を受けさせることが出来ます。このような入院には、措置入院、医療保護入院等、いくつかの形があります。ちなみに患者さんの意志による入院は「任意入院」といいます。

 

なぜ非自発的な入院があるのか。それは、患者さんが病状のために入院治療の必要性を理解出来ない場合があるからです。患者さんには「治療を受けて回復する」権利があります。しかし、入院治療が必要なのに病状によってその判断が出来ず、適切な治療を受けない状態は「その人が治療を受けて回復する」権利を奪われている状態、とも考えられます。病状が悪化していけば、最悪、自身や他人の命に関わる事態になることも考えられるのです。

 

ただ患者さんには入院の意志がないので、一歩間違えば「人権侵害」になりかねません。
そのため医師は、入院に際してのお知らせを渡し告知を行う、入院の必要性等を記載した書類を作成し都道府県知事へ提出する等の手続きを踏み、治療上必要な入院ではあることを示さないとなりません。

 

もちろん患者さんが治療の必要性を理解して入院してもらえることが一番ですし、非自発的な入院は出来る限り避けるべきです。病院側は、患者さん自身に入院治療の必要性を理解してもらえるような関わりを行います。

 

今年4月には法律が変わり「医療保護入院」の見直しが行われます。法律改正により精神科医療を取り巻く現状がどうなっていくのか…分かりませんが「患者さんが必要な医療を受け、健康になること」、その権利が侵害さ れない改正であってほしいと思います。

 

えーと、精神科の入院形態のことで、結構お話してしまいましたね。
次回は、私の日々の業務のことをお話したいと思います。

 
ソーシャルワーク・タイムズ vol7 part2 2014.1.19より

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みなさんお元気ですか?mikoです!
私は先日エレキギターを買い、ドレミファソラシドが弾けるようになりました!ギターの話を始めると、たぶんメルマガ3回分くらいになるのでまた今度!

今回は私の日々の業務についてお話します!

 

まずは入院相談。本人、家族、他病院、施設、役所…色々な所から相談がきます。
そして入院対応。診察の同席、入院時の諸手続き等を行います。

ここで前回お話した、精神科特有の入院形態の説明もします。

 

 

また患者さんや家族の状況に応じて、各種社会保障制度や福祉制度の紹介を行います。
生活保護や高額療養費、障害年金・手帳、介護保険、自立支援医療・給付等…非常に多岐に渡ります。

 

そして退院支援。通所・入所施設や在宅サービスの紹介・調整、患者さんとの外出(アパート探し、施設見学、買い物、市役所へ手続き等)もします。

 

昨今は精神科の長期入院患者への退院支援が行われており、当院からも数十年と入院していた方が退院されました。ここ数年は、患者さんの高齢化に伴い体の病気で転院する方が多く、転院調整も今後さらに増えるでしょう。

 

ここに書いたものはほんの一部です(細かく書いたらそれこそメルマガ数回分…)。

 

さて。私はPSW実習の指導者から「過剰な援助をしない」「不安に基づく援助をしない」「援助しない援助をする」ことを教えてもらいました。

 

患者さんやご家族が歩いていく道。石が落ちている。穴がある。どうすれば歩きやすい?
転ばないかな?穴に落ちないかな?こんな時ワーカーはどうするか。

先回りして歩きやすい道にする?これって実は「楽」だし「気持ちいい」です。でもそれは患者さんやご家族の利益になるか?自分が安心するために「過剰で」「不安に基づく」援助をしているのではないか?

 

患者さんやご家族が人生の困難にぶつかった時、考えて、悩んで、苦労してもらう。
これらは、人が生きていく中で経験する当たり前のことであり、権利です。その権利を奪わないために「何をしてあげれば…」ではなく「何をしなければ…」という視点を持つことが大切だと思います。

患者さんやご家族と一緒に考えて悩んで、情報提供や考えを整理する際のお手伝いをして、最終的に患者さんやご家族が自身の手で次の道を選んでいく、そんな役割を担えたらと思います。

 

でも自分が普段の実践で、どれだけこの視点を忘れずにいられているか。正直まだまだです。忙しさで見失っていることも多いと思います。常に立ち止まり、自分の実践を振り返りたいと思います。

 

長くなりました。ではまた次回!

 

ソーシャルワーク・タイムズ vol9 part2 2014.2.2より

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こんにちは、mikoです!

寒い~外は雪が降っています~。こんな日は転びやすくて危ないですね。私は昨年雪対策のために買った長靴があるのでバッチリ!…と思っていたら、なんと、大きな穴が…でもこの穴開き長靴でなんとか雪を乗り切りたいと思います!

さて今回は、先日NHK Eテレで放送された「ハートネットTV シリーズ“難病と向き合う”」という番組を紹介&感想をお話したいと思います。

この放送では、難病医療と難病患者の就労について特集していました。難病医療制度についても触れたいのですが、今回は就労支援について。

番組では、難病を発症したために退職を余儀なくされた方、佐賀県難病相談・支援センターの職員さんによる就職支援の様子、そのサポートを受けながら就職活動をしている方が紹介されていました。

番組を観て思ったこと…それは企業側が「難病」がどんなものか分からない、という点が大きな壁だということです。でもこれはある意味仕方ないのかも…「難病」と聞いてもなかなかイメージ出来ないでしょうし「働いて大丈夫なの?」等、不安が生まれて当然だと思います。

番組では、センターの方が企業を訪問し、適切な治療や支援があれば働くことが可能な方がたくさんいることを説明していました。

 

ようは「コミュニケーション」なのかなと。

伝えなくては理解し合うことは出来ません。患者側(サポーター含む)と企業側のやり取りは今後も必須でしょう。でも患者さんが1人で企業側に伝えていくって、とてもパワーがいります。そんな時にサポートがあると大変心強いと思います。

また「難病」があるということだけで就労の機会が得られないとしたら、それは患者本人だけでなく、社会全体の損失ではないでしょうか。

「難病があるから」という理由で不採用となり、その方の持つ能力を活かせないとしたら、それは本当にもったいないことだと思います。病状等に対する配慮は必要かもしれません。しかしその配慮は、企業側が実現不可能なものばかりなのか?もしかしたら、配慮以上の利益をその人がもたらしてくれるかもしれません。

 

どうか病気だけではなく、患者さんを丸ごと見て頂きたいなと思います。


最後に。

人は一人で生きることは出来ない。
社会とつながって生きています。
社会とのつながりが切れる、という感覚は、患者に大きな恐怖と孤独をもたらします。
私もそうでした。

 就労はもちろん、就労以外の形でも社会とのつながりを感じられるような、孤独に陥らない何らかの形が必要と感じました。ハートネットTVは再放送されるので、興味ある方はぜひ観てみてください!

 

ハートネットTV:http://www.nhk.or.jp/heart-net/tv/calendar/2014-02/11.html

 

 ソーシャルワーク・タイムズ vol11 2014.2.16より


VOL4-6はこちらから

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:ライター・プロフィール:
”miko”

病院でPSWをしています。2つの難病を経験中。働くこと、難病を取り巻く現状のこと、その他日々感じたこと等、ゆっくりですが綴っていきたいと思います。

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